2009年08月31日

日本心理学会第73回大会

日本心理学会第73回大会@立命館大学(2009年8月26日)において,以下の研究発表を行いました.

三浦麻子・川浦康至
知識共有コミュニティを創り出す人たち(7):回答投稿という援助行動を支える心理的過程

本発表では,知識共有コミュニティで回答投稿という援助の実行に至る心理的過程に焦点を当て,当該行為の発現に至る動機づけと行為者の個人特性に関する因果関係モデルを形成し,2007年12月に実施した調査のデータによってこれを検証し,さらに援助実行者自身による援助要請状況に基づく2群による差異を検討しました.その結果,共感性の高さがすべての回答投稿動機を高める影響力をもつことが共通していた一方で,回答投稿頻度に有意な影響を及ぼす動機づけ要因は両群でまったく異なっていました.質問投稿に比べて回答投稿が非常に多い,あるいは質問投稿をまったくしたことがない参加者においては,回答投稿頻度を外発的動機の高さが下げ,互酬的動機の高さが上げていました.質問と回答を比較的バランス良くどちらも投稿している参加者においては,回答投稿頻度を援助的動機の高さが下げ,内発的動機の高さが上げていました.前者についてはコミュニティの知識共有的役割を前提とした奉仕的な参加態度を,後者については援助というより対人コミュニケーションを楽しむ参加態度を示しているのではないかと解釈しています.

当日はたくさんの方から貴重なご意見やご示唆をいただきました.ありがとうございました.
(なお,本研究は科研費基盤研究(C)(20530583)の助成を受けたものです)

投稿者 asarin : 2009年08月31日 08:52