第9回・課題1
これは,昨年度の適応認知行動学分野の心理学実験でおこなった実習のサンプルデータである.
実施したのはスタンバーグパラダイムという記憶探索課題で,あらかじめいくつかの文字を提示しておいて記憶させ,あとで検査刺激を出し,その検査刺激が最初に出たいくつかの文字の中にあったかなかったかを判断させるというものである.
実習では,最初に提示される文字(ここでは数字)の数が1/3/5個の3つの水準があり,それらの数字が検査刺激にあったかなかったかを「Yes/No」のボタンを押すことで判断した.検査刺激が出てから反応がおこるまでの時間を「反応時間」としてmsec単位で計測したデータを分析に用いる.なお,「あり(Yes)」反応と「なし(No)」反応で,反応時間の関数の傾きが違うことが知られているので,別個に分析をすることにし,ここでは「あり(Yes)」反応に対する反応時間のデータを示している.
データは次のような順番で並んでいまる.1行について,
- 記憶数字1個条件の反応時間(msec)
- 記憶数字3個条件の反応時間(msec)
- 記憶数字5個条件の反応時間(msec)
これは「YES」と反応することを求められた場合のデータである.
適切な変数名をつけて,記憶数字の個数条件を,
- 「被験者内」要因とみなして分析する場合
- 「被験者間」要因とみなして分析する場合
の分析をSASでおこなえ.なお,データの行数は53であるから,被験者内要因の場合,実験参加者数は53名である.
確認事項
- 誤差項の違いが,それぞれの結果(F値)を異なるものにすることを確認すること.
- また,多重比較の際はLSD法(/t)とTukey法(/tukey)の両方を試して,両者の違いについても確認すること(結果記述の際は,より厳しい比較基準であるTukey法による結果を採用すること).
データのダウンロード
こちらから(9task1.txt)
ヒント
doループによるデータ読み込み法を工夫すれば,ダウンロードしたデータの形のままで,どちらの分析もおこなうことができる.特に被験者間要因とみなした分析の場合に,適切な読み込み法が思い浮かばない場合は,表計算ソフトなどを使って,データの形を自分で変える必要がある.